秘密の鎖
うん、まだ顔がほんのり赤い。

酔ってる。
やっぱり酔いのせいだ。


私はハァ、とため息をついてソファに座った。

夕月さんがつけたままのテレビでは、
司会者がゲストの人をちょこちょこいじってトークを盛り上げている。


「そう思うなら、今度からちゃんと連絡してください。心配だし……わっ!?」


食べ終わった 夕月さんがこっちに来てボフッとソファに座ったんで、私は軽くバウンドしてバランスを崩してしまった。


すかさず夕月さんが手を伸ばして、ソファから落っこちそうになった私の腕を掴んで助けてくれた。


「あ、ありがとうございま…」


ぱっと顔をあげると、夕月さんと目があった。

そして、ものすごくキョリが近いことに気づく。


「心配してくれたんだ」


にっこり笑いながら夕月さんがゆっくり私のほうに体を傾けた。

私は夕月さんから逃げてるうちに、自然と倒される形になって、気づくと夕月さんの顔を見上げていた。


冷や汗をかいた私の頭に浮かんだのは、ヨッパライの5文字。



これは……
ピンチ!!!



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