秘密の鎖

「聞いているの!?」


お母さんの声が一段と荒くなる。

お母さんの腕から解放された私は、
お母さんの隣の座布団に腰を下ろした。

合掌を済ませて、静かにこちらに向きなおる男性。


「話があって来たんです」

「話すことなんてないわ。早く出ていって下さい。」


お母さんはどうしてこんなにツンツンしているんだろう。

てか、知り合いなの!?


「直彦さんが亡くなった今、話し合うことはいっぱいあります」


お母さんはきゅっと唇を噛んだ。

直彦というのは、お父さんの名前。

この人とお父さんと、何の関係があるんだろう。

お父さんが職場の上司、とか?


「…何でしょう」


お母さんはやっと聞く気になったようだ。

男の人は私のほうをちらりと見た。

な、なんだろ…


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