秘密の鎖
コンコン
「ふぁーい…」
ガチャ
「…何やってんの?」
カーペットの上に大の字になって寝そべっていると、
部屋に入ってきた夕月さんが不審そうな目で見てきた。
「ちょっと休憩してんですぅー」
「ふーん。あ、マーカーちょっと借りるね」
ふーんって何よ、ふーんって。
夕月さんは私の机の上からマーカーを取るために一歩踏み出した。
「いだだだだ!髪!髪踏んでる!」
「あ、ごめん」
申し訳なく思ってなさそうな声でそう言って、カーペットの上から何やらつまみあげた。
「あは、3本抜けちゃった」
にこやかに笑う夕月さんの手にあるのは、明らかに私の髪の毛。
「ぎゃああああ!」
夕月さんの手から抜けた髪の毛をひったくって嘆く。
「うっうっ、はげる~」
「まさかそんな、ハゲかけたオヤジじゃあるまいし」
隣で笑ってる夕月さんを涙目でキッと睨みつけた。
誰のせいだと思ってんのよ!!
そんな私にはおかまいなしで、あきれたように眉を下げる。
「ていうかさ、その叫び声なんとかなんないの?もっと女の子らしく『きゃー』とかさ」
「何寝ぼけてんですか」
「だよね」