秘密の鎖

魔法


太陽がぽかぽかと気持ちがいい土曜の昼下がり。


昨日のおわびに、と言って渡されたものは


ピンクの可愛いカプセルに入った―――――








消しゴムでした。






「いや、なんかちがくない?」


消しゴムを片手に目を細める私に、
夕月さんは頬杖をついてキョトンとする。


「消しゴムは必須アイテムじゃん、学生の」


いや、そりゃそうだけど。


こんなね?
inカプセルの遊びゴコロつきの消しゴムなんか、
小学生しか喜びませんけど。

私、こーこーせーなんです。
なんか、忘れてない?この人。


「夕月さんバカにしてません?」

「あらら、バレた?」


そう言ってちょっと舌をだす仕草。



…かっ、可愛いとか思ってやらないんだからね!!



ごまかすようにさっとそっぽを向くと、
夕月さんがポンポンと頭を撫でた。


「冗談。ほんとのおわびに今日はご飯、作らなくていいよ」


その言葉にえ、と顔をしかめてこめかみに汗を浮かべる。


「…まさか夕月さんが作るとかじゃないですよね?それだったら私が喜んで作ります」


焦る私を見て、
夕月さんはおかしそうに笑った。


「違う違う、俺が作ったらビィを殺しかねない。今日は外食しようって言ってんの」


「ああ、それなら」


私はその条件で、昨夜の行為を許してあげることにした。

(なんて言うと怪しく聞こえるけど)


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