秘密の鎖

夕月さんとお出かけなんて遊園地以来。

…遊園地しか行ったことないんだけどね。


「どーしよー‥」


服を部屋中に散らかしまわって、ポツリとひと言。

積みかさなった服がズルリと落ちた。



「何着たらいいか…わかんない!!」


ひえ~っと頬に手をあててベッドにダイブ。

ぼすんとベッドが弾んで、服が何着か飛び跳ねた。



遊園地のときは、
な~んにも悩まなかったのに…

あの時私はどうしたんだっけ?

なんであんなにパッパと選べたわけ??



ていうか、なんであんなの(夕月)のために悩まなきゃいけないの~!


はっ!
違う違う!私が悩んでるのは今日行くところが高級ホテルだから!
そーだよ絶対!


私はパッと顔をあげて、一番に目に飛び込んだワンピースをじぃっと睨みつけた。

そしてばっと手を伸ばし、ワンピースを引き寄せる。


「これで決まりっ!」


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