秘密の鎖


「あれ?」


鏡に映る私は、
全然おかしくなかった。


いや、むしろ――――キレイ、かも。


「やっぱ俺、天才?」


なんて隣で笑ってる夕月さんの言葉も
今なら素直に頷ける。


「すごい、夕月さん!魔法みたい」


目を輝かせて夕月さんを振り向いた私を、夕月さんはちょっと驚いたような顔をして見たあと
いつも通り微笑んだ。


「お気に召して頂けて光栄です、お姫様」


いつもなら、
バカじゃないの、とか言う私も
おどけてそんなことを言う夕月さんと微笑みあう。



なんか、この感じ。


胸が踊るような、雰囲気。


夕月さんとなら嫌いじゃない。






服に合わせていつもは履かないヒールを履いて出てきた私を見て、
玄関の外で待っていた夕月さんは目を優しく細めた。


「可愛いよ、ビィ」


そう言って手を差し出してきた夕月さんの手を自然に取ったことに、内心びっくりした。



これも魔法かな、

なんて思う。



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