秘密の鎖
「綾香真一。木原と同じ高校。綾香って呼んで」
「………」
へぇー、同じ高校なんだ……
「…っえええ!?同じ学校!?」
確認するように彼を見ると、うん、と頷かれた。
だから私のこと知ってたんだ。
でも私、コイツのこと知らない……
「なんで私のこと知ってたの?」
私がそう聞くと、綾香は呆れた顔をした。
うっ。
なんかまずいこと言った?
「入学したてのころ、あんた校内で迷子になっただろ」
迷子。
そういえばそんなこともあったかも知れない。
そっか、私の方向音痴は当時も力を発揮してくれていたか。
「もしかして、あの時助けてくれたのって綾香だったの?」
困っていた私を助けてくれた人がいたことを思い出して言った。
綾香はそっと笑った。
「やっとわかった?」
わかった。
泣いてる私の腕を掴んで、教室まで引っ張っていってくれた人だ。
「ごめん、パニックだったから顔とか全然覚えてなくて…」
「ほんとだよ。俺なんか一日も忘れたことなかったのに」
その言葉に綾香を見ると、真剣な顔でこっちを見ていた。