秘密の鎖

「あの時から、ずっと木原が好きだった」



突然の告白に思いっきり戸惑った。





………好き?


好き?


誰を?


…私を?


「好き……?」


真剣な目が私を射ぬく。




綾香は、私が好き。






でも、私は――――――?







「ごめん」




ふわりと柑橘系の香りが私を包んだ。


「泣くほど好きな奴がいるのにね」


そう言ってさっきと同じように私の頬に触れる綾香。


触れられたあたりから、冷たいものを感じた。


「――あ」


私、泣いてる。


「なんで私」


あわてて涙を拭った。


その手を綾香が掴んで止めた。


「さっきの奴が、好きなんだろ」



―――さっきの奴。



「年上の」



夕月、さん。





好き。



そっか、私、もう好きなんだ。


夕月さんが好きなんだ……


だからこんな気持ちになるんだ。



「ありがと、綾香」


彼の手をそっと話した。


「綾香のおかげで自分の気持ちに気づいたよ」


そう言うと、綾香はあからさまにげっ、という顔をした。


「お前気づいてなかったのかよ」


余計なことした、と舌打ちをして私から少し離れた。


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