秘密の鎖
綾香とあやか
昨日の夜、夕月さんには友達の家に泊まるとメールしておいた。
ケータイを開いて、夕月さんからの着信とメールがたくさんあったことに驚いた。
心配、してくれたんだな。
そう思うと、今まで何も連絡しなかったことを後悔した。
そして、ちらりと隣のベッドの綾香を盗み見。
すやすや寝込んでる。
綾香は有言実行、ほんとになにもしなかった。
そういうところは、見直してあげよう。
「…ん。ん~?」
なんて思いながら寝顔を眺めていると、綾香が薄く目を開けた。
黒髪に少し寝癖がついていてかわいい。
「おはよ」
そう言うと、空気の混ざった声でおはよ、と返ってきた。
「私、帰るね。どうもありがとう」
綾香が起きてから帰ろうと思っていたので、起きたのを確認するとさっさと立ち上がった。
「もう帰んの?」
綾香が髪を掻きながら眠たそうな目をして聞いてきた。
「うん」
言いつつ、ソファの上に転がしといたカバンを手に取る。
「帰ってきてなかったらどうすんの?もしくは、女がいたら」
その言葉に、私はちょっとだけ固まった。
「…大丈夫、と思う。夕月さんバイトあるから」
「ふぅん」