いちごの恋~恋した相手は先生~
今日は、部活に行こう。
何事もなかったように元気に先生に声をかけよう。
そして、
チャンスがあれば…
新羅に本当のこと、話したい。
過去形でしか言えないかも知れない。
『昔、好きだったんだ』って。
でも、それでもいいから…
言いたかった。
部室に入ると、昨日の記憶が蘇る。
新羅と先生の声を無視して走り去った私…
深呼吸をしながら、壁に貼られた新垣先生の笑顔を見る。
…よし。
笑顔、笑顔。
「あ… ごめん」
ガラっと開いたドアから新垣先生が顔を出した。
「あの…先生!! 昨日は…」
大きな声を出したのに
その声は、新羅の声にかき消された。
走って部室にやってきた新羅が、嬉しそうに新垣先生に話しかけた。
「せんせ~!!もう私、走れますよ~~!!治ったから。」
まっすぐに先生の目を見て話す新羅がうらやましい。
きっと、かわいい生徒だね。
少し前まで
自分が新垣先生の一番近くにいると信じてたのに…
今では
とてもとても遠くに感じるよ。
会う回数は多くても
今は、先生から見て…
かわいくないよ、私。