いちごの恋~恋した相手は先生~
第5章【ちぎれた絆】
小さい頃、海の砂浜でお城を作ったことがあった。
何時間もかけて、やっと出来上がったお城はとてもしっかりとしていて、ちょっと叩いたくらいじゃ壊れない。
何度も水を染み込ませながら、ゆっくりと固めた砂は、さっきまでさらさらの砂だったことを忘れさせてくれる。
でもね…
叩いても壊れないお城も
あっという間に消えちゃうんだ。
波が来ると、一瞬にしてお城は消えてなくなるんだ。
どれだけ時間をかけても
壊れるのは一瞬。
新羅との長い歴史が
今、消えてなくなった。
何年一緒にいたとか、どれだけ助け合ったとか、今さら何を言っても
ちぎれた絆は戻らない。
どれだけ楽しい記憶を思い出しても、それさえ嘘に感じられる。
友情は、儚い。
だからこそ、大事に大事に育て続けなければいけない。
試練を乗り越えるたびに深くなる友情を知っていたのに。
あの試練を、どうして乗り越えなかった?
どうして、あの壁を登らなかった?
私は、違う道を通って、壁を避けて通った。
壁の向こうで待つ新羅は、
どう思っただろう。