完━あなたは、敵━<先生との恋・スピンオフ作品>
うわ〜行きたいっ!と呑気に見ている愛子さん。
うん、あたしも行きたいよ。
契約の担当者じゃなかったら、あたしも愛子さんと同じ反応をすると思う。
でもね、今はそんな事思えなくて……。
「Roseとどっちが部屋設置の化粧品の契約を取るか競うんです……」
「Roseと?椿ちゃんの会社が?」
……はい、と答えれば愛子さんも状況を理解してくれたらしく苦笑い。
「契約を1つ取れば会社の売り上げも大分変わってきます……その大事な担当をあたしが任されたんですよぉ…無理です」
「無理って……弱音吐いてどうするの」
だって、だって。
無理だもん。
人前に出るのも苦手なのに。
「はい、カフェラテ。って……何泣かしてんの」
カウンターに出来上がったカフェラテを置きながらあたしを見た久遠さんは驚いた顔をする。
作っていた久遠さんは話は聞いていたものの、表情は見ていなかったから。
「私が泣かせた訳じゃないですよ!椿ちゃんがいきなり泣き出して……」