完━あなたは、敵━<先生との恋・スピンオフ作品>
バッチリメイクを施していて、可愛い。
……何だかちょっと自分が嫌になる。
こうやってあちこちに鏡が取り付けてあってライトが強い場所。
嫌でも自分の顔と向き合う回数が増えて…
もう少し可愛くメイクできなかったかなぁーとか。
思っても、あたしはメイクの技術が乏しいからこれが精一杯なんだけど。
「カラーバリエーションが豊富ですねー」
鏡を見て分からない程度の溜息を吐いたあたしの横で、三浦さんはコスメに顔を近付けてまじまじと見ている。
「……椿ちゃんは、どんな物が良いと思います?」
「え……っと。妹さんの希望通り、三浦さんが選んだ方が良いと思います。男の方が可愛いって思う物を……」
あたしから見た可愛いって思う物と、三浦さんから見た可愛いって思う物は違うと思うし。
「女の人って、どのコスメを一番使うんですか?」
僅かに視線をあげた三浦さん。
「一番……」
何だろ?
アイメイクかな?目だけはガッツリって。
アイシャドウとかも良いかも……