完━あなたは、敵━<先生との恋・スピンオフ作品>

悩んでいるようなので、聞いてみる。

「そうですねー……ピンクが女らしくて良いと思いますけど、ピンクって言っても色が微妙に違うのが沢山ありますよね」


そう言いながら三浦さんは二つのグロスを手に取る。



「こっちとこっちって、どのくらい色が変わるか分かります?」



薄いピンクとちょっとそれよりも明るいピンク。



そんなに変わらないと思うけれど……


「あまり変わらないと思いますけど……こっちの方が明るいかな。新色でこの前発売したばかりですよ」


「……椿ちゃんは良く使う色はどんなの?」


あたしからアドバイスを聞こうとする三浦さんを見て、はっとした。


……あたし、女の子らしさの“欠片”も無いんじゃない?



さっき三浦さんはピンクが女の子らしくて良いって言ってたけど……。



今あたしが付けているグロスはそこに擦らないベージュ。



良く使うグロスもベージュ。


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