完━あなたは、敵━<先生との恋・スピンオフ作品>
久遠さんがあたしの目の前に置いてくれた。
「……俺達からの応援だから、今日はタダ。飲んで」
「良いんですか?」
「特別にな」
「ありがとうございますっ!」
さっきカチャカチャと音を立てていたのは、片付けてるんじゃなくてあたしの為に作ってくれてたんだ。
ゆっくりとカップを持ち、何日かぶりに味わう。
……やっぱりここの味が一番好き。
落ち着く。
ホッと息を吐いて肩の力を抜くと、カウンターの他の席を拭いていた愛子さんが思い出したように口を開いた。
「そう言えば、椿ちゃんとデートしてた彼、椿ちゃんの事聞いてきたよ?」