君に恋した。
「泣きたい時は、泣かなきゃ駄目!!今泣かないで、いつ泣くの??今しかないの!」
愛も少し涙目でこっちを見つめている。
「あ…、愛…。」
キュッと唇を噛み締める。
「ねぇ…、美奈?私だって、辛い。大事な大事な親友が、そんな辛い顔をしているのが・・・。」
愛は下を向いた。愛の顔に、キラリと光るしずくがこぼれた。
「あ…い。う…っ。う・・・っ。」
今まで貯めていた涙全てが出るような勢いで泣いた。2人で泣いた。周りの人から見れば、「中3になって??」と思うかも知れない。そう思われるような勢いで泣いた。涙が止まるまで…。愛は、直ぐに泣き止んだけど、私の涙はとまらずいつまでも泣いていた。

愛は何も聞かず静かに私の横で、私が泣き止むのをじーっと待っていてくれた。
本当に心から思う。

愛、ありがとう。


まだ涙は止まらないが少し落ち着いてきた。
「美奈…。」
「愛…、やっぱりこの恋…さ。」
「ん?」
「無理…かもしれない。」
胸の痛みが増してくる。

「好き」の気持ちが、一瞬で崩れていく。
変わりに「無理」という感情が込み上げて来る。

<好き>に気づいて、<無理>だと気づいた。
これなら、まだ<好き>の気持ちに気づかなきゃ良かった。

胸の中が今までに無いくらい…
苦い。

愛は、さっきの言葉のあとから下を向いている。
2人の間に沈黙が流れる。
その時、愛が私の方をゆっくりと見た。
「ねぇ、美奈?」
「え…?」
「もし美奈が、本当に諦めるなら私は止めない。」
「美奈は、どうしたい?」
愛が真剣な瞳で私の方を見つめてきた。
(私のしたい…事。)
頭の中が絡まって、答えが出せない。
「…ごめん。今すぐには、無理…。」
今の私が言えるのはこれだけだった。
もう少し落ち着いてからちゃんと考えたい。
「そっか…!」
愛は、私の気持ちを察したのかポンと肩を叩いた。
「愛…?」
「美奈、今すぐにはむりでしょ?一回自分と話し合ってみなよ。きっと答えが出るから。」
愛はそういって出て行った。
自分と話し合う。
確かに愛の言うとおり、答えが出せるかもしれない。
(私は、どうしたい?)
日向を諦める?
もう、恋をしない?

違う、そんなことじゃない。
私の本当の気持ちは…。
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