君に恋した。
そんなに、突然

いつも、泣き虫で
弱っちくて

そんでも優しくて

大好きなあずが
「美奈ちゃん」って、いきなり呼んでくれなくなるなんて。

どうして?
いつまでも、一緒に居ようよあず。

私、もしあずがずっと一緒に居てくれるなら
いじわるだってもうしないよ?

キツイ事言わない。
優しくする。

だから、お願い。
私の前から、消えないで。

私が、あずと離れ離れになる話を聞いたのはつい数日前。
ママがいきなり、私をリビングに呼んだ。

「美奈。」
「なぁーに?ママぁ…。」
私は、何も知らずにママの目の前に腰掛けた。

「あずくんねぇ。」
「あずぅ?」
お菓子に夢中で、あんまりママの話を聞いていない私。

「美奈とバイバイしちゃうの…。」
「えっ…。」
私は、口をいっぱいにあけてかぶりつこうとした、大好きなクッキーをポロッとこぼしてしまった。

クッキーは、床に落ちて砕け、パラパラと粉だけが舞う。
「やだーっ!やだ、やだ、やだーっ!
 いやだ、いやだ。あずとバイバイしないー!!」
私は、小さいこぶしでテーブルをどんどんたたいた。
「美奈・・・。」
涙がぽろんぽろんとこぼれてくる。

嫌!嫌!やだよ、やーだーよ!
頭の中は、コレ一色。

泣きじゃくる私を、ママがそっと抱きしめた。
「美奈…、落ち着いて聞きなさい。

 あずくんのぱぱは、なんのお仕事してるの?」

「うっ…ふぇ…。ぐす…ん。
 お…いっしゃ…さん。」

「そうねぇ、おいしゃさんねぇ。
あずくんの、パパお医者さんねぇ。
みんなの病気や、怪我の治療してるねぇ…。」

「うん。」

「今、あずくんのパパは、おーっきい病院で働いてるんだけどね。

 今度ね。」

「おっきい病院…?今度ね…?」

「ここから遠い、とおーい場所で、あずくんのパパは病院作るの。

 だから、あずくんも、ゆきえママさんも、ひろパパさんも、みーんなで、お引越ししなきゃならないの。

分かる?」

引越し…。
「会えないの?もう、会えないの…?」

ギュッと、ママは抱きしめた。
「大丈夫よ、いつか会えるわ。きっと。
美奈が、会いたいと願い続ければ、必ず…。」
< 33 / 74 >

この作品をシェア

pagetop