君に恋した。
その頃、輝琉と日向はロビーに居た。
「日向、ちょっと見ないうちに変わったね。」
「そうか?変わってないよ。」
「ううん、少しかっこよくなった。」
「…そっか。」
「昔はクラス一緒だったから、1週間に1回はあってたよね。」
「あぁ、うん。」
俺と、輝琉はカーレースチームの元同クラス生。
今は、二人とも大きくなったから俺は[メンズクラス]、輝琉は[レディースクラス]だ。
輝琉なら、メンズクラスに混じっても行けそうな気がする。
「今度のエリア大会出るの?」
「あぁ、出るよ。輝琉は?」
「出るに決まってんじゃん。私が出ないことなんてあった?」
「無いな。」
「久々に、日向と競いたいなー。」
輝琉が笑った。昔と変わらない笑顔。
「エリア大会、レディース部門で優勝したらコーチに言って競ってやるよ。」
俺も、満面の笑みで言った。輝琉は俺が認めた唯一のライバル。
久々に競いたいといえば競いたい。
「OK。じゃあ…それまでに足、治しておかなきゃね。」
「足?」
そういえば、輝琉が病院に来た理由は聞いていなかった。
足って…どういうことだろう?
「今日、捻(ヒネ)ったのよ。」
「大丈夫?エリア大会まであと2ヶ月だぞ?」
「だーいじょうぶだってぇ。
日向って本当昔から心配性なんだから。」
「あんま、無理すんなよ?
俺と競うのなんていつでもできるんだし。」
「あら?
これくらいのハンデがあったほうがいいかと思ってー。」
フッと輝琉が笑った。
「そんな余裕あんのか?まあ、お前が頼むなら6割の力で走ってやるけど?」
俺も負けじと対抗する。
目を見詰め合う。
「ふ・・・ハハ!」
沈黙に耐え切れず思わず笑ってしまう。
「私、そろそろ診察だから、行くね。
じゃあエリア大会で。」
「あ…。」
椅子から立ち上がって、診察室へ向かおうとした輝琉の肩を日向が掴んだ。
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