君に恋した。
「ケータイ。持ってる?」
「え…?あっ、ケータイ?持ってるけど…。」
「連絡先教えて?俺、診察終わったら家まで送っていくから。」
「あぁ、いいよ別に。帰れるし。」
輝琉は、笑みを浮かべた。
「いいって、俺が送る。」
「わかった、お言葉に甘えて。よろしく。電話番号は…。」
輝琉は電話番号を告げ、診察室へ入っていった。
「ふぅ…。」
病院の外で缶ジュースを買い、椅子に腰掛けると、ふと昔の思い出がよみがえってきた。
あれは、まだ幼い頃か…。

「――…もー。日向泣かないの!」
「だって、足が足が痛いんだもん…。」
「木から、落ちて捻挫でもしたんでしょ?痛いに決まってんじゃん。」
「うっ…うっ…。」
「泣かない!男でしょ?おんぶして家まで送ってってあげるから、ね?な、か、な、い、の!」
「うっ…あり…ありがとうっ!」
昔は俺より、しっかりしてて身長もでかくて姉のようだった輝琉。
弱虫だった俺は助けてもらってばっかだったっけ…。

今度は俺が、輝琉を支えるんだ。
LuLuLuLu...。
マナーモードにしていた携帯がポケットの中で動く。
[輝琉]とディスプレイに表示された。
「もしもし。終わった?」
「うん、今どこ?」
「外の自販機。来れる?」
「行けるから、今から向かうね。」
「ん、わかった。待ってる。」
通話終了ボタンを押して、ゴミ箱へ向かったときだった。
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