すきって言わせて
教室
それからの毎日はあたしにとっては地獄だった
「さっおりー♪」
誠二が教室に入ってくるなりあたしに抱きついてきた
「話せっ!ってゆーか他の子たちが見てるでしょ!」
「いいじゃんー♪さおり俺のこと好きなんだから」
あれから毎日毎日、誠二とあたしはこの掛け合いをしてる
「てか」
べりっ、とでも音がしそうな程あたしは勢いよく誠二を突き放した
「あんた彼女いるでしょーが!」
そう、
こいつには彼女がいる
詳しくはしらないけど、入学直後に告白されたらしい。
「いるけど今はさおりがいいー」
ばっちーん
また抱きついてこようとしたから思い切り平手打ちしてやった
「入学からまだ2ヶ月なのに既に6人とつきあってる誠二くん!」
すると隣からあたしの中学時代の友人、倉敷桜(くらしきさくら)が入ってきた
「なんだよ倉敷!」
あそこ、と教室のドアを差すと、そこには遠目から見てもわかるぐらい可愛らしい女の子が立っていた
「夢ちゃんじゃーん♪」
誠二はその"夢ちゃん"を見つけると、すぐに立ち上がって彼女の方に言ってしまった
「旦那がいないとさみしい?」
桜はあたしの前の席に座り、逆に椅子に座った
「旦那って(笑)」
ハッと軽く笑ってしまった
「あたしが誠二と旦那と妻の関係ってウケるね」
「ウケないよー!美男美女でお似合いじゃん」
「誠二は美男だけどあたしは違うでしょ(笑)」
「えーそんなことない!さおりちゃんあたしの好みだし」
「好みって!」
丁度よく、チャイムが鳴った