先生がいた。
悲しいけど、あともう少しで着いてしまう。

「生徒を家まで送るのは先生の仕事ではないんですけど。」

先生がミラー越しに愚痴を言ってくる。

「ありがとうございます、先生!もぉすごい優しいですね!素敵です!!」
「おだてても嬉しくねえよ。」

ふっと先生が笑う。

「あ、先生そこの角を曲がって真っ直ぐ走っていったら私の家、すぐです。」
「おぉ。」

この道だと美由の家に先に着く。
一緒に降りるかすごく迷う・・・。

「ここです。ありがとうございました!」
「あ、じゃぁ私も・・・」

一人だけ乗るのも図々しいかなと思って降りようとした。

< 62 / 193 >

この作品をシェア

pagetop