あの空の向こうに
【巡り合わせー18】


祐平は、言われた通り族長のテントに足を運ぶと、
中で女は立って待っていた。







「昨日は悪かったな。
改めて挨拶する。
この村の族長だ」







昨晩とは違い、女は礼儀正しく挨拶をした。

祐平も頭を下げる。







「あ、族長じゃ堅苦しいから、君の名前を教えてよ」





女は、珍しがるように祐平に言った。







「そんなこと聞くなんて、珍しいヤツだ。
村の掟で、族長は族長としか呼んではいけないのダ」






…と、面倒くさそうに、村の掟を語り出した。





女も、この掟は堅苦しくて嫌らしい。







「だけど、お前は村人ではないから名で呼んでもいいだろう。
私はサラと言う。
ヨロシク」







「あ、俺は稲葉祐平だ。
よろしく、サラ」







サラは、眉間にシワを寄せた。







「イ・ナ・バ・ユ・ウ・ヘ・イ?
なんだ、その長い名は。
とても呼びにくい。
なら、お前はユウでいい。
ヨロシク、ユウ」







と、勝手に決められてしまった…
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