あの空の向こうに
【もう一度会いたくてー4】


前族長はその後、村の全員に事情を説明し、
その流れでレオンは英雄扱いになったのだ。






だが、どうも腑(フ)に落ちない……


そんなので、英雄扱いされるのも納得できなかった。







ただ、この星から逃げただけなのに……







その、星から逃げたことが、
村の全員に「この星から脱出できた人がいたから、自分達も可能性がある!」

…と言う希望を与え、レオンは英雄となってしまったのだ。






「…とにかくダ。
死んでしまったら、もう会うことも出来ナイ…
この星にいてもシュナウザーに脅えるだけだ。
ユウも家族もいるんだし、さっさと帰るんダナ」







サラはティナの髪の毛を取り上げると、大事に箱に閉まった。

…とそれを祐平は奪った。






「なんダ…?
形見にでも持って帰るつもりか…?」







祐平は箱を強く握りしめ、小刻みに震えた。







「………ティナはこの星から……
その悪魔から逃げるため、違う星で転生しても幸せになるように俺を逃がしてくれた……」







祐平にティナの思いが、痛いほど分かった。

相手が幸せになるため、自分が離れる辛さを……







「だけど、俺は約束した。
それだけは一番ハッキリ覚えている。
飛ばされる宇宙船の中でもう一度会いに来ると……」
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