あの空の向こうに
【もう一度会いたくてー24】


「デラ……大丈夫か?」







近くに座り込むデラに、手を差し伸べる祐平。







「う、うん大丈夫」






いい大人が腰を抜かす気持ちも分かる…
デラが臆病とか関係なく、誰であってもシュナウザーは怖い。






このシュナウザーの恐怖心と威圧感は、間近で見ないと分からないだろう。






デラはまだ震えながら、祐平に話した。






「シュナウザーこっちに来たんだ…
そしたら当然、目の前を通り過ぎて…」






「ああ、見ていた。
急に一匹が、音も出してないのに暴走したのをな」







「でも、なんで暴走したの?
まるで、混乱したかのように…」







すると、遠くで調べ物をしているサラが声を上げた。







「うっ!なんだコレ!」







それはちょうど、その暴れたシュナウザーが走り出した場所であった。







「どうした?サラ?」






軽く小走りをして、祐平とデラはサラのとこへ向かった。








「ここ、変な臭いがすル。
とても臭いゾ」






「本当だ。
き、気持ち悪い」







デラも同じく鼻をつまむが、祐平には何も感じなかった。








「何も変な臭いなんてしないぞ?
2人とも鼻おかしいんじゃないか?」







すると地面にある何かを発見したサラは、それを指した。







「コレだ!コレ!
この器から変な臭いがすル」







すると祐平は、アッと言った感じでそれをヒョイと持ち上げた。







「コレ俺のだ。地球から持ってきたんだけど…」








それは、ただの蚊取り線香であった。







この星に来る前に、気温が高いから蚊に刺されないようにと、何となく持ってきた蚊取り線香だ
< 129 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop