あの空の向こうに
【星を眺める少年ー3】

「族長!!村が…!また村が!!」


そう言って、腰巻きの男が慌ててテントに入ってきた。


中にいた数人の老人が、その男をジロリと睨みつける。


「もう少し静かに入れんのか。ヤツらに聞かれたらどうする」


腰巻きの男はハッとし、我に返った。


そして静かに腰をおろすと、テントの中は、またいつものように静まり返る。


そして、その男は静かに話始めた。


「族長……私が使いに行った村は、また1人残らずヤツらに殺されてました…無惨なものです…」


か細な声が、テントの中に小さく響く。


族長と呼ばれた老人は、後ろを向いたままその言葉を受け止めた。



そしてゆっくりと振り返り、口を開いた

「後はワシらで話し合う。お前は家に戻るがいい」



その言葉を聞き、腰巻きの男はペコリと頭を下げ立ち去ろうとした。



「待て」



族長が呼び止め男は振り返る。



「常に掟を忘れてはいかん。今後は静かに行動するよう心がけよ」



それを聞いた男は、またペコリと頭を下げ、外に出ていった。
< 3 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop