あの空の向こうに
【転生ー33】

全てを思い出した……
村のこと、シュナウザーのこと、転生のこと、先代の遺跡のこと
そして、あの星で起きた惨劇を…





「俺はレオンとして生きて、最後には
あの化け物に殺されたんだ…」





自分が毒に侵され、この宇宙船の中で息絶えたのも覚えている。





祐平は、ふとレオンの骨を見た。






「そうか……ティナの言ってた通り、前世の遺体に触れれば転生の記憶が全て甦るんだな…」





祐平はレオンの骨を抱えると、近くの土に埋葬してあげた。





「静かに眠るんだぞ…
ってレオンは俺なんだから眠るって言うのは変かな?」





自分の過去の遺体を埋葬するってのも、
不思議な気分である。





「コイツは、もらっておくよ…

まあ、もともと俺のもんだし
俺が俺にあげるんだからいいだろ」





なんだかややっこしいが、
祐平はそう言い首飾りを受け取り、自分の首に付けた。





「…さてと」






埋葬を終えた祐平は、宇宙船を見つめた。





こいつでまたワープをして、あの星に戻れるだろうか??





祐平は宇宙船に乗ると、機内のボタンを眺めてみた。





先程まで分からなかった文字が、転生の記憶の復活により読めるようになっている。





「これは…
ある程度行く先を希望し、それをインプットして発射させるんだな…」






機械の苦手なレオンだったが、祐平は機械が得意分野。

そして、計算が苦手な祐平だが、レオンは数字に強い。






まるで、二つの脳が重なるかのように、
機械の操作・計算を難なくこなしていく。






「なる程…
過去の記憶もあるから、苦手な数学も楽々できるようになってる。
インプットも、完了だ」






希望の星には、化け物がうようよして緑が生い茂っている静かな星……

…と、できる限り自分の星に近い情報を入力した。





後は、ボタンを押すだけで発射できる所まできている
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