あの空の向こうに
【星を眺める少年ー9】

「…………っ」


……………


ふと気付いた時には、そこにはいつもの風景が広がっていた。



見慣れた自分のテントである。



(そっか……私あのまま寝ちゃったんだ……)


火のついていたロウソクはすでに消えており、代わりに日の光がテントの隙間から差し込んでいた。


(もう…朝なんだ…)



ティナは目を擦らせ、ムクリと起き上がる。



外は相変わらずの晴れ。この村には昔から雨が降らないのである。



「昨日おじ様に撫でられたからかな…またいつもの夢見ちゃった…」



気は張っててもやはり女の子。昔の両親の思い出が頭から離れないでいる。



夢では温かく見守ってる両親に、少し甘えが出たのかもしれない。



パシ!


気合いを入れるように、自分の顔を軽く叩く。



(こんなんじゃダメよ、私がしっかりしなきゃ!)



自分に喝を入れ、ティナはスクっと立ち上がった。
…と、ほぼ同時にテントの中に1人の男が入ってきた。



この男は、村の見張り役の男である。



見張りの男は慌ててティナの手を引いた


「ティナ!レオンが帰ってきたゾ!」
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