あの空の向こうに
【巡り合わせー8】


興奮する女を止めるかのように、老人はなだめるように言った。







「族長。落ち着いてくだされ。
村のルールは族長もご存知でしょう…」






老人はゆったりと喋り、小さな声だが、女の大声に対して焦っているのが分かる。







「ふン。外の祭壇の炎の色は変わっていない。なら、多少の大声でも大丈夫だ。
コイツは許さない。村の英雄の名を語り、族長の座でも狙っているに違いないゾ」







その言葉に、祐平はカチンときた。







「なんだよ!嘘なワケないだろ!
そんなもの興味があるか!!」







ギロリと睨んだ女は、手に力を入れる。






「だから何度もうるさいと言ってるだろ。いい加減にしろ!」






「そっちだってさっきから大声出してるじゃないか!」








「お前みたいにがむしゃらに大声出してるわけじゃない。
祭壇の色を見ながら分かって大声を出しているのダ。
どうせ、あんな罠にもかかるくらい無知なお前だ。
祭壇の色の意味など分からないだろう」
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