【短】愛なんて誓わせない
バージンロードを父親とゆっくり歩いてくる花嫁を見ながら、さっきの直くんとの会話を思い出す。
「ごめんな?誕生日なのにバタバタしちゃって」
1ヶ月振りの会話。
もう誕生日の事なんて忘れられてたかと思ってた。
『…………』
何も言えない私。
何も無かったように話すんだね…。
「どうしてもあいつが6月が良いって言ってジューンブライドっつうの?しかも日が良いとかで今日になっちゃったんだ…。
誕生日プレゼントは今度渡すから。ごめん」
…直くんはこの間から謝ってばっかりだね。
『…じゃあこれからはお兄ちゃんて呼ばなきゃね』
お兄ちゃんなんて呼べる訳無いのに。
何か言わなければと強がって言った言葉。
一瞬、何故か直くんは悲しそうな…苦しそうな顔をした…。
だけどすぐにいつものように戻って
「…プレゼント何でも良いから考えとけよ?」
そう言ってポンッと頭を叩いて行ってしまった。