プレーン
「まずはきっかけが欲しいよね……。」

「まぁあんまり時間もない事だし。凝った事も出来ないけどさぁ……。」

ぶつくさ言いながらこころは岬さんを見つめている。

こいつは思った事を口に出すタイプ、何やらもごもごと"今後の作戦"をつぶやいているようだ。

僕が物書きに夢中だと思って背中を向けているようだけど、違うからな。

気が散って一行も書けてないんだ。

筆記体でエル書いて誤魔化してるだけだ馬鹿めちゃんと見てるぞ、こころ――お、おいいきなり振り向くなよなぁびっくりしたぁ……あ……また後ろ向いちゃった……。

僕はどうも、こころの笑顔が苦手みたいだ。

まともに目を合わせられないし、落ち着かないのってホント、心臓にわるいよ。

(じいちゃんも心臓弱かったし遺伝なんだから気をつけなきゃ……全く。)
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