彼女は双子!?
ヒョイ


パクっ


手に持っていたはずの食べかけのタルトがなくなりあたしの手は空(くう)を掴んでいた。


そしてようやく気づいた。


あたしに被さってできている人影に…。


勢いよく上を向く。


するとあと少しでも顔を上に向ければ簡単にキスができる距離だった。



「なっ…」


あたしの顔から血の気が引いていく。


そこには前までなら喜んで抱き着いていたハズの人物。


今は………1番会いたくない、嫌いな人物。


なんでアナタがココに…?


反射的に顔を逸らし開いていた包みを慌てて閉じて…


聞こえた声に耳も傾けず…


屋上を走って去った。



なんで…なんで…アナタがココにいるの?


もう会わないって決めたのに。


しかも平然としていて…


まるであの時のことが嘘かのように…


前の時と変わらない態度で…


あたしに近寄るの………?



あたしには


アナタが…


分からないよ………。



溢れる涙を拭うこともせず、あたしはやみくもに走り続けたのだった………。





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