涙が愛しさに変わるまで
「誠の家は小さな会社。潰れそうだった誠の家の会社を助けてあげる代わりに、あたしと結婚して会社を継いでもらう約束をした。」
……桐沢社長は自分の家族を守るために。
「でもそんな結婚だったけど、あたしは今、誠を愛してる。」
………夏羽さんが笑ってない。
あたしを真剣に見つめてる。
「……だからあたしは真依ちゃんに誠は譲らない。」
いつの日か聞いた低い声で夏羽さんは言った。
そして見たこともないような、怖い笑顔であたしを見てきた。
「それに……誠はあんたを選べない。もしあんたを選んだら誠の家族の会社……あたしが潰しちゃうもん」
「なっ!」
「真依ちゃんは誠を悲しませたいの?違うわよね?」