涙が愛しさに変わるまで


「もしよかったら……うちにお姉さんの泣いてた理由話してください。」



凄く真剣な顔で言われた。


「話したら少しは楽になるんやないかな……?」



本当にあたしのことを心配していってくれてるらしい。



若いのにこんなに立派な女の子いるんだな……。



あたしは誰にも打ち明けなかった思いを、この女の子に話してみることにした。


「あたし、実は今日会社を辞めたの。」



あたしの話を女の子は黙って聞いていた。



「あたしは会社の秘書で、その社長と不倫してた。それが昨日奥さんにバレてしまったの。」



「……そうなんや」



あたしは一息吐き、そして本心を口にした。



「あたしは心の底から彼を愛してた。二番目なんて本当は嫌だけど、あたしはそれでもいいから彼のそばにいたかった。」



あたしは下を向いて話していたから、女の子がどんな表情をしてるかはわからなかった。



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