涙が愛しさに変わるまで


「げっ!見つかった!」



あたしが喋ろうとした時、女の子を探していた男の子がやってきた。



「なんやねん!せっかくの修学旅行やで!?うちかて好きなとこみたいねん!」


「アホか!今はクラス別見学や!自分の好きなとこまわる時間じゃありませーんっ」



男の子と女の子はあたしの目の前で口喧嘩をしている。



あたしはチラッと女の子を見て気がついた。



たぶんこの人が幼なじみの男の子なんだと思う。



だって女の子の頬がうっすら赤くなっていたから。



「あーうるさい。うるさい。みんな待ってんねやからもう行くで」



男の子は片方の手で耳を押さえ、もう片方の手で女の子の制服を掴んで引っ張っていった。



「なんやねんなアホ!あっ!お姉さんごめんな!うち応援しとるから!」



女の子は引っ張られながら帰っていった。
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