涙が愛しさに変わるまで


あたしは吸い込まれるように、ただぼーっとクラゲを見ていた。






「あれ?片岡さん?」



どのくらいかわからないくらい時間がすぎた時、誰かに声をかけられた。



あたしはゆっくり振り返った。



「え?水野課長?」



あたしに声をかけてきたのは、水野課長だった。



以前と変わらず、水野課長はニコニコ笑っていた。



「お久しぶりです。でもどうして片岡さんが?」



「あ、大阪の旅行会社に務めることになったんです。」



「そうなんですか……」



水野課長は少し寂しげな表情だった。



「水野課長はどうして大阪に?」



「え?……あぁ、ちょっとこっちで大きい会議がありまして。僕が代表でいかなきゃいけなくて。」
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