涙が愛しさに変わるまで
「それは大変ですね。」
あたしは笑ってみせた。
そうしたら、水野課長は苦しげな表情をした。
「……今でもそんなふうに笑うんですね」
あたしは「え?」と聞き返したかったけど、気づいた時には水野課長の腕の中にいた。
「水……野かちょ」
「ずっと俺はあなたを見てきた。あの社長よりもあなたを幸せにします。」
あたしは水野課長に包まれながら静かに聞いていた。
「だから……あの人のことで辛い想いなんかしないでください。それに無理して笑わなくていいですから……」
あたしは涙がたまった。
この一年、きっとあたしは平気なフリをしていたんだ。
本当は毎日泣きたいのに、きっとあたしはそんな弱い自分に気がつかないフリをしてたんだ。
「片岡さん……あの人が好きならそれでもいいです。無理して忘れようなんかしなくていいです。」
「水野課長……」