涙が愛しさに変わるまで


「え……今なんて」



「水野課長と……付き合います。」



真剣な目であたしは水野課長を見た。



あたしは今も……桐沢社長が好き。



でも水野課長は……無理して忘れなくていいって……そう言ってくれた。



あたしは水野課長の優しさに甘えているだけなのかもしれない。



だけどこの人なら……自然に忘れられるかもしれない。



そして……好きになれるかもしれない。



初めて桐沢社長以外の人をそういうふうに思えたんだ。



「……真依は俺が守るからな。」



水野課長はそう言って、もう一度あたしを力強く抱きしめた。



あたしはそっと腕を水野課長の背中にまわした。



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