涙が愛しさに変わるまで
「そうですか。でわ社長室に行かせてもらってもよろしいですか?」
たぶん年上なのにあたしに敬語を使う水野課長。
ニッコリと微笑むその顔にみんな惚れてしまうだろう。
……かっこいいもんな
「片岡さん?」
あたしが水野課長を見ていたら急に名前を呼ばれ、現実に戻った。
「すいません!あ、大丈夫ですよ」
「ならちょうどいいし、片岡さんもついてきてもらえますか?」
また不意打ちの笑顔。
桐沢社長とはまた違ったかっこよさだな……。
「いいですよ。じゃあいきましょう」
あたしはエレベーターを指さして言った。
水野課長もOKとでも言うようにまた笑顔を見せた。