涙が愛しさに変わるまで
1:社長室の秘め事
大都市に位置する大きなビル。
それがあたしの勤める会社。
と言っても大きなビルは周りにたくさんある。
あたしはそんな環境の中で毎日淡々と仕事をこなしている。
片岡真依。秘書という大事な役割をこなす24歳。
「おはようございます桐沢社長。」
あたしの一日はこの桐沢誠の出迎えから始まる。
作り笑いにお辞儀。
これがあれば秘書なんて誰でも出来る。
「おはよう。あれ?今日リップの色変えたの?」
あたしの顎をもちあげる桐沢社長。
周りの人間が言うように、社長はイケメン。
あたしだってそうは思うけど………
「セクハラですよ?社長?」
あたしはまた作り笑いのまま腕を振り払った。
そう考えてしまったら今にもダメになりそうだから。
だからあたしは秘書として社長に接する。