涙が愛しさに変わるまで


桐沢社長の手があたしの太ももに触れた時……



♪プルルルル……



電話の音が部屋に響いた。



桐沢社長はあたしからはなれ、電話を取りにいった。



あたしは息を整えた。



ついでに、この心臓も正常にしてくれればいいのにって思った。



バクバクいってる……桐沢社長に聞こえないかな?



「俺だ。どうした?」



桐沢社長は受話器を取り話し始めた。



「……わかった。今行く」



そういうとあたしのとこに近づいてきた。



「まー子?息荒いよー?俺が戻ってくるまで直しとけよ」



桐沢社長はニヤッと笑いながら言った。



あたしの頭にポンと手を置いて社長室を出ていった。



いつもなら嬉しいはず……だけど



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