涙が愛しさに変わるまで
そして後ろ向きのまま「あぁ。」と桐沢社長は答えた。
社長室のある24階まで沈黙が続く。
あたしはスケジュール帳で明日の予定などを確認した。
そしたらあっという間に24階。
あたしはポケットに手を突っ込みながら前を歩く、桐沢社長の後に続いた。
なんて裏表が激しい人なんだろう。
そう思いながらスケジュール帳を閉じた。
でもそれと同時に、やっぱりかっこいい……と不覚にも思ってしまった。
「まー子、コーヒー入れろ。」
桐沢社長はあたしの事を「まー子」と呼ぶ。
名前が真依だから、勝手につけられた。