涙が愛しさに変わるまで
「えぇ!?べ……別にそんなんじゃ!」
あたしの動揺した姿を見て、クスクスと水野課長が笑った。
「もういいですよ。否定したって僕にはわかりますよ」
あたしはきっと顔が真っ赤だと思う。
ばれちゃいけないのに……わかりやすすぎるのかな?
「あれ?それ僕の部下にですか?」
「あ!はい!」
水野課長は眼鏡をクイッとあげて微笑んだ。
「それじゃあ、僕が渡しておきましょう。片岡さんはどうぞ社長とごゆっくり」
書類をあたしの手から取り、あたしが降りなきゃいけなかった階に水野課長が降りた。