涙が愛しさに変わるまで


急な事で思考回路が混乱する。



桐沢社長の胸をドンドンと必死に押した。



すると案外すんなり唇をはなしてくれた。



「まー子は本当強がりだね?」



そういっていつのまにか頬をつたってた涙をすくった。



あたしは怖さで声が出ない。



「まー子?おまえの唇はこれから俺のもんだからね?」



悪戯っぽく微笑むとあたしの上からゆっくりとどいた。



あたしが乱れた髪を直しながらさっきのことに混乱していると、桐沢社長は笑い出した。



あたしはきつく睨みながら見た。



「本当まー子はおもしろいね?男なれしてないの?」



「そ、そんなの!してないに決まってます!」



あたしは24歳ながら男の人と付き合ったのは1回だけ。



高校時代から成人になって少しぐらいまで……。



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