涙が愛しさに変わるまで
あたしに笑顔を向けながら、帰っていった夏羽さん。
でも記憶に残るのはあの低い声……。
♪プルルル〜
社長室の電話が鳴った。
あたしは急いで電話を取った。
「はい。社長室ですが」
「俺は誰でしょう」
え………?
あの〜あきらかにあの人しかいないんですけど。
「桐沢社長ですか?」
「名前は?」
はい?
ちょっと誰もいない社長室でなんで、こんな照れることしなきゃいけないの?
「桐沢社長」
「おい。だから名前」