涙が愛しさに変わるまで


………。



数秒黙っていたら、ため息をつく音がした。



「じゃあ、様ってつけなくていいよ」



あたしは少し安心してひとつ深呼吸をしてから口を開いた。



「……ま、誠さん」



「まぁ、いいや。合格〜。」



あたしは恥ずかしすぎて口もとを押さえてた。



「まー子〜。ご主人様ですよ〜。」



………あれ?



ずっと恥ずかしくてわかんなかったけど、桐沢社長はこんなに甘い声だったの?



低いのにどこか甘いかすれたような声……。



声だけでこんなにドキドキするなんて……やっぱりどうかしてる。



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