Tears in Love〜せつない想い〜上

「俺、教えようか？」




ざわっ･･･



矢野先輩が真剣な眼差しで、

あたしにそう言った。


優達は驚いて、
矢野先輩を見る。


「え･･･でも」



急に言われたあたしは
驚いたせいで、


言葉が詰まった。



矢野先輩は
変わらずあたしを
真剣な眼差しで見つめる。


それを見た長瀬先輩は･･･



「いーよ。俺が教える」


ざわっ･･･


「どーなってんだよ！？」

「なんか
三角関係みたいなやつ？」


小さい声で
そうつぶやく優達。


あたしは
驚いて言葉が詰まる。



矢野先輩と長瀬先輩は、
互いに見つめ合う。


その時の表情は
今だに覚えている。


真剣･･ううん、
あたし的には

睨み合っていたかのように
見えた。



「････」



数分近く、
道場の中は静まり返っていた。


どうしたんだろう。


今日の二人･･･。


なんか
いつもと違う･･･。



すると。



「なーんてなっ！」


長瀬先輩は、
矢野先輩から目線をずらし、

自分のお面の場所に行った。


「え･･･？」


「社会は何も
教えることなんかねーよ。

それに教えたって
馬鹿は一生馬鹿なんだよ」



ムカッ･･･！！


頭にきた。



コイツやっぱり！！



「あたし、
長瀬先輩が嫌いです！」


大きな声で
叫ぶあたし。


道場に響いたあたしの声は

長瀬先輩の耳に入る。



そして。



「あー初めて意見が合ったな。

俺もお前なんか嫌いなんだよ」



チクン･･･



「そーみたいですね。長瀬先輩」


この胸に
沸き起こる熱い気持ちは

きっと
怒っているから。


けど。


なんであたしは
怒っているの？？