Tears in Love〜せつない想い〜上
「・・・・矢野先輩・・・っ?」


あたしを
優しく抱きしめる矢野先輩。


「お前が・・・
走ってくの見えたから


心配になって来たと思ったら・・


なんで泣いてんの・・」



矢野先輩は息を切らしながら

あたしの耳元でそう言った。



あたしを見て、
わざわざ抜け出して
来てくれたの?



しかも
息を切らしながら・・・
走ってくるなんて。



矢野先輩・・・・。



「ううん・・・大丈夫です」


「・・馬鹿野郎。

大丈夫なわけねーだろ。」



ぎゅ・・・っ



あたしを
抱きしめる矢野先輩の体は


大きくて、
優しかった。



「俺に言えよ・・・。


・・全部聞くから」



あたしはまた涙を流した。


「なんで・・・そこまで、
してくれるんですか?


矢野先輩・・・」



すると。



矢野先輩はあたしを
さっきより強く抱きしめた。



そして。



ずっと待ち続けた言葉が、

あたしの耳に入って来た。




「・・・お前が好きだから」




「・・・・っ」




「ずっと待たせてごめん。




・・お前が好きだ」



「・・・・・っ!!」



矢野先輩の突然の告白。



それは。



あたしの心を
強く締め付けた。




ずっと待っていた。




矢野先輩の言葉。




でも。




なんでだろう。




ずっと待っていた言葉なのに・・




胸が痛い。





それにどうして・・・。






長瀬先輩の顔が浮かぶの・・・?





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