Tears in Love〜せつない想い〜上
「それ以外に何があるんだよ。

ばーーーか」


ムカッ・・


頭にきた!!


こいつ殴ってやる!!


そう思った・・・が、


「啓もやめろよ。
柳原は強くなってる。

俺はそう思う」


矢野先輩は
そう言うと、

立ち上がって
去って行った。


「矢野先輩・・

なんて優しい人
なんだろう・・・


誰かさんとは
大違い・・・!」


あたしは
長瀬先輩を睨むと、

立ち上がり
その場を去ろうとした。


「矢野先輩、矢野先輩・・

口開けば、
矢野先輩・・!

おめーの頭ん中は
大地しかねーのかよ!」


長瀬先輩は
あたしにそう言う。


あたしは
立ち止まると、

振り返り
長瀬先輩を見る。


「矢野先輩は
あたしの憧れの人です。

ただ、それだけ」


あたしは
そう吐き捨てると、

その場を去った。



昔の記憶が、蘇る。



2年前。


「矢野先輩!

あたし、ずっと
矢野先輩が好きでした!」


思いっきって、
試合のあとに

告白したあたし。



しかし・・・



「悪い・・・俺、
今は剣道に集中したいから」


あたしは
フラれた。



矢野先輩に・・・



だから
あたしは、

もう二度と
恋愛はしないと

心に誓った。



なのに・・なのに、



あなたは・・・



あたしの考えを覆した。

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