― Summer Drop ―
「あのっ、……昨日も会いましたよね?」

膝の上で両手をぎゅっと握りしめる。

一年以上試合に通って、一言も声が掛けられなかった自分の

どこにそんな勇気があったのか、自分でも驚いた。

謙太は本から顔を上げて、驚いたように千夏を見た。

恥ずかしさのあまり、目を逸らしてしまいそうになる。

自分の心臓の音が聞こえるほどの緊張の中で

謙太を見つめる。
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