― Summer Drop ―
今日は何があっても

謙太に自分の存在を気づかれたくない。

千夏はメッシュのキャップのつばを更に下げた。



「千夏ぁ、そんなに意識せんでも大丈夫やって。……逆に怪しいよ?」

キャップ以外に、縁のある伊達眼鏡を掛け、

マスクまで付けた姿に、朋子は呆れたように言う。

「ええんっ。絶対謙太君にばれんように…目立たんように……。」



しかし城内球場のスタンドは決して広いとは言えない。

スタンドの一番後ろの席に座っていても、

グラウンドからは簡単にその姿が見つけられる。

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